Sakana Fuguを使ってみた!導入から使い方まで完全解説
そもそもSakana AIとは?
Sakana AIは、Googleの元研究者らが東京を拠点に創業した、今世界中から大きな注目を集めている日本発のAIスタートアップ企業です。
従来の巨大なAIを1つ作るアプローチとは異なり、「自然界の生物の進化や群れの知能」から着想を得た独自の開発スタイルを持っています。
Sakana AIの特徴
- 進化的モデルマージ(Evolutionary Model Merge)
- 複数の異なるAIモデル(言語モデルや画像認識モデルなど)を自動で高度に組み合わせ、新しい能力を持つAIを効率的に生み出す独自技術です。
- 高いコストパフォーマンスと省エネ性
- 莫大な計算資源を使ってゼロから巨大なモデルを学習させるのではなく、既存の資産を賢く「進化」させるため、軽量でありながら非常に賢いAIの開発を得意としています。
- 日本語・日本文化への強い最適化
- 国内のビジネス習慣や、日本語特有のニュアンス、コンテキストを深く理解したモデル作りに定評があります。
提供されているモデル
Sakana AIはFuguとFugu Ultraの2つのモデルを提供しています。
- Sakana Fugu
- 高い性能と低レイテンシ(応答速度)のバランスに優れた、日常業務のデフォルトに最適なフラグシップモデルです。
- 単一のLLMではなく、複数の言語モデルを動的にオーケストレーション(連携・統合)して複雑なタスクを処理する「マルチエージェントシステム」として機能します。コーディング支援やチャットボットへの組み込みに最適です。
- Sakana Fugu Ultra
- 困難で多段階のステップを要する問題に対して、回答の品質を最大化するよう調整された最上位モデルです。
- より深い専門エージェント群を連携させ、AI研究、論文の再現、サイバーセキュリティ分析、文献や特許の調査といった非常に負荷の高い業務に対応します。世界の先端モデルと肩を並べる高い推論能力を誇ります。
モデルの性能
Sakana Fuguは、単一のLLM(大規模言語モデル)の限界を、複数のAIエージェントを自律的に束ねる「集合知」によって打破しています。公式発表では、その圧倒的な推論能力を示す定量評価が公開されています。
フロンティアモデルを超えるベンチマーク結果
AutoResearch(AIによる自動研究)、機械設計、金融時系列予測、さらにはチェスやルービックキューブといった複雑な思考・ステップを要する複数の実験において、Sakana Fuguは世界最高峰のフロンティアモデル群を上回るパフォーマンスを記録しました。

提供される2つのFuguモデル(Fugu / Fugu Ultra)は、一般に利用できる主要なフロンティアモデルを明確に上回っており、エンジニアリング・科学・推論のさまざまな難関ベンチマークにおいて、最先端の Fable 5 や Mythos Preview と肩を並べる実力を誇ります。
特筆すべきは、これほどのフロンティアレベルの性能を発揮しながらも、地政学的な輸出規制のリスクを負うことなく利用できる点です。特定の巨大テック企業や国家の規制に依存しない「AI主権」を確保できるため、日本のエンタープライズや開発者がビジネス基盤として安心して組み込める強みを持っています。
実戦で活きるコーディング能力とエージェント性能
さらに、エンジニアリングの実務に直結するベンチマークでも驚異的な数値を記録しています。

- SWE-bench Pro(コーディング解決力): 73.7% を達成
- GPQA Diamond(大学院レベルの難関課題): 95.5% の高正答率
- LiveCodeBench / Terminal Env: プログラミングや、CLI環境での自律タスク実行においても非常に優秀なスコアを記録
500名近いベータテスターによる現実のワークフロー検証でも、既存の主要AIツールが「3件程度」しか見つけられなかったバグや改善点の指摘に対し、Fugu Ultraは20件以上の的確な指摘を検出しました。
このように、ただ回答が速いだけでなく、人間の専門家のように「深く考え、何度も見直す(テスト時スケーリング)」プロセスを自律的に行うため、これまでの単一LLMを置き換える強力な選択肢となっています。
料金体系


主に従量課金制のトークンプランと定額制のサブスクリプションプランの2つがあります。
サブスクリプションプランは5時間制限と週間制限が設けられており、制限に達すると一時的に使用できなくなります。
Sakana AIの導入手順
公式のGet startedの手順に沿って、アカウント作成から実際に使えるまで解説していきます。
本手順ではサブスクリプションプランでの導入手順を解説します。
STEP1: アカウント作成
まずはSakana AI Consoleのアカウントを作成します。

- Sakana AI Console にアクセスします。
- Googleまたはメールアドレスでログインします。
STEP2: 支払い方法を設定
APIの利用料金の支払い方法を設定していきます。

「請求 > お支払い方法」にアクセスし、支払い方法を追加ボタンをクリックします。

クレジットカード情報を入力し、保存ボタンをクリックすると、支払い方法が追加されます。
STEP3: サブスクリプションプランの契約

「請求 > サブスクリプション」にアクセスし、お好みのプランを選んでください。

あとは先程設定した支払い情報が表示されているので、申し込むボタンをクリックすると契約完了です。
STEP4: APIキーの発行

「APIキー」にアクセスし、APIキーを作成ボタンをクリックします。
| 項目 | 選択内容 |
|---|---|
| 名前 | (任意の名前) |
| 利用モード | サブスクリプション |
| Pay as you goへフォールバック | チェック外す |
| Fugu custom model pool | OFF |
- Pay as you go: サブスクリプションの使用量を使い切った後に、従量課金で使うかの設定になるので、基本的にはチェックを外しておくと誤って追加課金されないので安心です。
- Fugu custom model pool: Fuguモデルが裏で使うAIモデルを選択することができます。デフォルトはGPT・Claude・Gemini全て使うようになっているので、特別な理由がない限りは設定変更不要で問題ないです。

「fish_XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX」のというAPIキーが発行されるので、安全なところに保管しておきましょう。
STEP5: CLIツールをインストール
curl -fsSL https://sakana.ai/fugu/install | bash
このコマンドを実行すると、必要なものを全てインストールしてくれます。
A Sakana API API key is required for this bundle.
Get or create one here: https://platform.torafugu.app/api-keys
Paste your SAKANA_API_KEY (input hidden):
このようなメッセージが表示されたら、先程作成したAPIキーをコピー&ペーストしてください。
STEP6: CLIツールを起動
codex-fugu
このコマンドでSakana AIのCLIツールを起動します。

そうするとこのようなプロンプト入力画面が出たら起動完了です。

/modelと打つと、fuguかfugu-ultraが選択できるようになっています。
Sakana Fuguのコーディング検証
今回は、同一のプロンプト(要件)から生成された3つのToDoアプリのHTMLコードと実際の挙動を比較し、各AIモデルの実装アプローチや品質の差を多角的に検証します。
対象のモデルは「Sakana Fugu」「Sakana Fugu Ultra」「Gemini 3.5 Flash」の3モデルです。
検証に使ったプロンプトは以下の通りです。
以下の要件でWebアプリを1つのHTMLファイルで実装してください:
- タスクの追加・削除・完了チェック
- カテゴリタグ付け(任意)とフィルタ機能
- ドラッグ&ドロップによる並び替え
- ダーク/ライトモード切り替え
- localStorage不使用(インメモリで管理)
- モバイル対応(375px〜)
外部ライブラリはCDNのみ可。デザインは実用的なSaaSツール風。
UI/UX比較
まずは実際のスクリーンショットをもとに、見た目と操作性(SaaSらしさ・モバイル対応)の違いを見ていきます。
Sakana Fugu
非常にシンプルで、プレーンなTailwind CSS風のデザインです。デスクトップではスッキリして見えますが、コンポーネントの配置は標準的です。

Sakana Fugu Ultra
モダンなCSS(color-mix や backdrop-filter によるグラスモフィズム調)をフル活用した、非常に洗練されたUIです。硬派な業務系SaaSというよりは、最先端のコンシューマー向けWebアプリといった佇まいです。

Gemini 3.5 Flash
画面上部に「総タスク」「進行中」「完了済」の統計メトリクスカードが配置されており、最も「ダッシュボード(SaaS)」としての説得力があるデザインに仕上がっています。さらに検索窓も自発的に実装されています。

機能性とエッジケースの挙動検証
仕様の再現度、特に「フィルター中(絞り込み中)のドラッグ&ドロップ(並び替え)」という、インメモリ管理においてバグが起きやすいエッジケースの挙動を検証しました。
ドラッグ&ドロップ実装の比較
- Sakana Fugu: 外部ライブラリを使わず、ネイティブのHTML5 Drag and Drop APIとTouchイベントを手動で組み合わせています。しかし、これが仇となり、モバイル環境での挙動が不安定で、フィルター中に並び替えを行うとインメモリ配列のインデックスがズレてデータが破綻するバグが見られました。
- Sakana Fugu Ultra: こちらも
SortableJSを的確に使い、滑らかな操作性を実現しています。また、ユーザーが入力した任意のカテゴリ名からハッシュ値を計算し、HSLカラーのバッジ色を自動生成するというスマートな仕様が盛り込まれています。 - Gemini 3.5 Flash:
SortableJSを採用。特筆すべきは、フィルター中で非表示になっているタスクの位置を維持したまま、表示されているタスク間だけで位置を入れ替える、高度な再統合ロジック(reorderTasks)を自前で実装している点です。
コード品質・堅牢性の検証
裏側のソースコードの設計、保守性、セキュリティ対策(XSS対策やアクセシビリティ)の品質を比較します。
| モデル | 特徴・評価 |
|---|---|
| Sakana Fugu | ライブラリ不使用の裏目で、車輪の再発明に失敗。 |
| Sakana Fugu Ultra | 状態とDOMを分離。イベントデリゲーションも徹底されたプロの品質。 |
| Gemini 3.5 Flash | 機能は豊富だが、HTML内にインラインJSが残るなどややレガシー。 |
特に Sakana Fugu Ultra のコードは美しく、"use strict" の明示、状態(state)とDOM要素(els)の分離が徹底されています。さらに、音声読み上げやキーボード操作を考慮したアクセシビリティ(aria-* 属性や sr-only クラス)の配慮、厳密な escapeHtml によるXSS対策など、そのまま実務のリファレンスにできるレベルの堅牢性を誇っています。
評価まとめ
今回のプロンプトに対する3モデルの検証結果をまとめます。
- 🥇 1位:Sakana Fugu Ultra: バグのない操作性、完璧なコンポーネント設計、精度高いイベントハンドリング、そしてアクセシビリティへの配慮まで、フロントエンドエンジニアが書いたような圧倒的な完成度です。
- 🥈 2位:Gemini 3.5 Flash: JSの書き方にややレガシーな部分があるものの、「検索機能」や「統計ダッシュボード」など、ビジネス視点でユーザーが本当に欲しい一歩先の機能を提案する能力は最も優れていました。
- 🥉 3位:Sakana Fugu: ノーライブラリに拘った結果、UXと堅牢性が犠牲になってしまい、実用ツールとしては一歩劣る結果となりました。
トークン消費量の比較
今回の検証における各モデルのトークン消費量と、それに応じたリソース消費率のデータを表形式でまとめました。
| モデル | 総トークン数 (Total) | 入力トークン (Input / Cache) | 出力トークン (Output) | 5時間消費率 | 週間消費率 |
|---|---|---|---|---|---|
| Sakana Fugu | 29,233 | 22,148 (+ 7,552 cached) | 7,085 | 4% | 1% |
| Sakana Fugu Ultra | 55,973 | 32,716 (+ 385,251 cached) | 23,257 | 17% | 6% |
Sakana Fugu Ultraは高品質な出力する分、トークン消費量がかなり多いです。今回Standardプランを使って検証していますが、全体的にトークン制限が厳しいというのが感想です。本格的にアプリ開発などに使いたい場合はProプラン以上がおすすめです。なので今のところStandardプランは少し試しで使ってみたい向けの人のプランだと感じました。
まとめ
Sakana AIの「Fugu / Fugu Ultra」は、単なるテキスト生成AIの枠を超え、複数のエージェントが自律的に議論し、思考を深めることで「人間のようなアウトプット」を出す次世代の集合知AIでした。
特にプログラミングにおけるエッジケースの処理や、UI/UXの細部へのこだわりは、「Fugu Ultra」の名に恥じないプロレベルの仕上がりです。
現状はトークン制限の厳しさがやや目立ちますが、今後のインフラ強化やプランの最適化が進めば、国内の開発シーンを塗り替える強力なインフラになることは間違いありません。
地政学リスクのない、日本発の強力な「AI主権」を体験してみたい方は、まずはConsoleのアカウント作成から、その圧倒的な推論能力を体感してみてはいかがでしょうか?